背景
世界的に地球環境への関心が高まる中、全世界に関わる共通の課題は、「大気汚染の要因の排除」および「資源の問題」です。急速に伸び続けた石油製品の需要は、今日の社会に欠く事が出来ないほど定着し、私たちの生活を支えてきました。
塗料・コーティング業界にとっても有機樹脂材料は石油化学が生み出した最たる製品の一つです。しかしながら塗料を生成するときや塗料が硬化するときに発生する有機揮発分(VOC)は大気汚染の重大な原因となります。そして、作業時、廃棄時においても人体や環境に対しても多大な影響を与えます。また、貴重な石油資源を用いていると言う事も忘れてはなりません。
地球環境へ打撃を与える有機溶剤を減少させるためにも、耐久力の低い有機塗料から、長期高耐久性のある無機塗料への切り替えが重要となっています。
また、公共事業などでも新設よりも補修維持費の方が多く掛かりつつあるのも現状です。私たちの子孫に負の財産を残さぬ為にも無機材料の選択が重要になっています。
有機と無機それぞれの塗料の性質について
有機の利点1.加工性に優れ様々な特徴を持った樹脂の製作が可能。
例・接着性
・柔軟性
・高硬度や逆に伸張率の良い物
・膜厚の調整(厚塗り薄塗りが可能)
・添加物が入れやすい
有機の弱点
1.紫外線に弱い
2.水分の吸収があり劣化を生じやすい
3.相溶性が高く他の有機物質と混ざりやすい。
すなわち有機塗料の上に付いた油など有機物質と混じりやすく変質し易い
4.耐熱性が低い
5.一度人工的に変性された有機樹脂は自然物に還元できない(産業廃棄物)
6.酸化し易い
無機の利点
1.紫外線や水分など外的要因に対して強い耐久性を示す。
2.相溶性がなく有機物質および無機物質と混ざり難い。 すなわち無機塗料の上に付いた油など有機物質と混じりあわず変質しない
3.不燃性
4.原料が石などの無機物から出来ており自然に還元が可能
5.カビなどの雑菌が増殖しにくい(栄養となる有機分がないため
無機の弱点
1.加工性に劣り、ある程度の種類の物しか製作できない。
例・接着性
・柔軟性
・伸張率の良い物
・膜厚の調整(薄く施工)
・添加物が入れにくい
液化クリスタルコーティング材とは
SiO2 を主成分としたガラスは、適度な剛性、透明性、耐汚染性、耐熱性を生かした用途として各種容器、管球、板ガラス、光学硝子など日常生活の中で幅広く利用されています。従来は常温でガラス膜を形成する事は不可能と考えられていました。しかし、新しい技術と実証がこの不可能を可能に変えたのです。
ガラスの持つ特性をコーティング材として活用する試み、これが液化クリスタルコーティング材の技術です。
液化クリスタルコーティング材の主原料=SiO2とは石英といわれる石の事です。この石を5〜7μmの粒子に粉砕し、温度と圧力を加える事で液状化します。
この液状化したガラスに苛性ソーダを加えると、いわゆる板ガラスの原料となり、再度温度を加えると窓ガラスやコップのようなガラス製品となります。
液化クリスタルは苛性ソーダの代わりにアルコールを加え、そこに触媒を添加する事で常温において液体状態を保ち、薄くコーティングする事で空気中の水蒸気と反応し、加水分解と脱水縮合を繰り返しながらガラスとなっていくのです。
したがってこの液中にアルコール以外の有機分は存在せず他の無機系と称する有機樹脂との混合型とは違い完全な無機質を保っていられるのです。
この環境汚染のない無機質でつくられた材料を、用途に応じて加工することでさまざまな場所で利用できるようになりました。